for Safety

防災への取り組み

避難所で段ボールベッドが使用されている様子

東日本大震災発生以後、被災地支援の一環の中で 当社として何かできることはないかと考え、
生まれた製品が「暖段はこベッド」です。

現在は当社のみならず、業界全体としての取り組みとして、
災害発生時にはその地にある紙器メーカーが避難所に段ボールベッドを提供できるような体制を構築しております。

段ボールベッドの誕生

3.11 東日本大震災の発生、避難所の厳しい寒さ

2011年3月11日、当社の代表取締役である水谷は東京へ出張していました。出張の時間はたった4時間の予定でしたが、その短い滞在時間中に東日本大震災が起こりました。

「もしかして死んでしまうのではないか」という恐怖を生まれて初めて感じました。その夜、津波の映像を見て日本の半分が破壊されてしまったということに、悔しさがこみあげてきました。

翌日、避難所では寒さ、低体温症で亡くなっている人もいるとニュースを見て、「え?避難所は助かった人のいるところで、なぜそこで亡くなっているひとがいるんだろう」と考えました。もし、寒さで亡くなるのであれば暖かい環境にしてあげれば助かる命もあのではないだろうか?

そこでダンボールで寝床を作るという発想が出てきました。

避難所の体育館で雑魚寝している様子
避難所の体育館で雑魚寝している様子。まだ3月なのでまだまだ寒く、低体温症で亡くなった方もいた

プロトタイプの制作

はじめ、プロトタイプは今のダンボールベッドとは全く違う形状で、ほぼ手作り。そのベッドを急ぎ、200台作らないといけない。ということで会社のスタッフたちに協力してほしいとお願いしました。支援という形で仕事が終わった人から有志でやってくれないかと、これを東北に持っていき、困っている人のために使いたいと。
ほとんどのスタッフが仕事終わって手伝ってくれたということがありました。

それから、さらに簡単に快適に組み立てられるよう、また段ボール製作会社ならどこでも作れるような設計を考えて今の形の暖段はこベッドになりました。

被災者に段ボールベッドの使い心地をインタビュー
避難所で段ボールベッドを使ってもらっている様子

段ボールベッドの紹介

段ボール箱1箱にすべてのパーツが折りたたまれて入っており、コンパクトな状態で運びこまれます。

大人1人で組み立てた場合。約10分ほどで完成します。

完成した状態です。

衝立や目隠しでプライベートな空間を保つことができます。

防災協定

段ボールベッドを避難所で受け入れてもらえない現実を知る

東日本震災が起こった際に、ダンボールベッドのプロトタイプを避難所にもっていきながら、今後、どうしたらいいのかを活動を通じてつながった赤十字のドクターと話しました。

ドクターは「この活動は是非続けて欲しい。被災地には簡易ベッドが必要だ」とおっしゃったので、毎週のようにトラック一台分のベッドを積んで東北に向かって走って、土曜日朝から各避難所をまわって使ってもらうようにお願いしてまわったのを覚えています。

でも、実際にはほとんどの避難所で受け入れてもらえなかったんです。

実際に寒さで凍えている人がいて、是非使いたいと現地の声があって、それを無償提供というかたちで持っていって、何故受け入れができなかったのでしょうか?

それは避難所を運営しているのは行政であり、市町村が運営していて、そこには職員がいて避難者が生活しています。

「ベッドを使ってほしい。寒さをしのいで痛みをやわらげてほしい」とお願いをしてまわったんですけど、「前例がない。こんなものみたことがない」と、それと、担当者が交代で次から次から変わっていく中で、その時にいた担当者がやはり自分の判断では入れることができない、自分で決められないということで、ほとんど90パーセントくらいの避難所で断られてしまいました。

避難所の寝床の様子
避難所の寝床の様子

徹夜で1000キロ運転して避難所をまわり、くやしさというよりも怒りに近い感情を覚えました。

目の前に避難者が床で寝ている中で、一部では「ほんとに使わして欲しい」と懇願されてるなかでも、なかなか受け入れてもらえなかったことで、やはり怒りに近い感情があったと思います。

これはなんとかしないといけない。前例がないのであれば前例を作っていく、そういう活動を始めました。

大型トラックで各避難所をまわる
大型トラックで各避難所をまわったがほとんどの避難所で受け入れてもらえなかった

防災の仕組みづくりからスタート

目の前の避難所の状態は何も解決されていないのであれば、この活動を続けるしかない。やめるわけにはいかないという想いがありました。

ただ、なかなか受け入れてもらえないということもあり並行して受け入れてもらえるように、出来るだけ多くの避難所をまわって使っていただくようお願いしてまわりました。

なぜ使えないのか?なぜ受け入れてもらえないのか?前例がなかったり、防災の仕組みのなかに簡易ベッドというのが組み込まれていないのであれば仕組み自体を作っていこう、仕組みを作っていけば自動的に入っていくはずだ。そう考え、行政と簡易ベッドを供給する防災協定をやっていこうという活動を並行してスタートをいたしました。

組み立て方を行政の担当者にレクチャーする様子
組み立て方を行政の担当者にレクチャーする様子
今までの災害発生時における通常の段ボールベッド輸送経路
防災協定によって実現する段ボールベッド共有の仕組み

第一号防災協定の締結〜現在へ

この防災協定とはダンボール会社、たとえば私どもの会社と自治体と平時において事前に約束を交わし、万が一災害がおきて避難所が開設されて長期の避難生活が確定された人にベッドを供給するという内容を事前に約束しております。何かが起こった際にすぐに支援を行える、その仕組みを作りあげるのが防災協定です。

一番最初は我々の会社ではなく、セッツカートンというダンボール業界では大手の会社にお願いして、愛知県新城市と協定を結ぶことができました。
これはセッツカートンが新城工場があって、そこの工場から市の方にアプローチしたところ、これはもう是非やりたいということで第1号の防災協定が平成23年6月28日、震災発生の約4ヶ月後、締結されました。

私たちは、今後発生するであろう災害までに、各市町村様との防災協定を結び、災害時に、ダンボールベッドを避難所に導入する仕組みを作っています。暖段はこベッドが避難所での生活のQOL(Quality of Life)を少しでも向上させることで、避難者の2次健康被害や震災関連死を少しでも予防することができると信じ、これからも活動をつづけていきます。

2016年3月時点で、全国200以上の自治体様と防災協定を結ぶことができ、災害時の要請があれば、ダンボールベッドを避難所に展開する仕組みを構築しています。

避難所訓練の様子
避難所のシミュレーション
避難所の様子
段ボールベッドが設置された避難所

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