前回、ようやくヒラカワガイダムのお風呂を設置することができた話をしましたが、私は作業の間、気仙沼高校で段ボール製簡易ベッドの搬入を立ち会っていました。
見事なリーダーシップ
前回訪問した時に、避難所の管理者が即断即決で段ボール製簡易ベッド100床の導入を決めてくれていました。その方は坂井さん。
真ん中の背の高い人が坂井さん
坂井さんは、震災前は気仙沼市でクリーニング業を営んでいましたが、津波で家も仕事場もすべて流されてしまいました。
地元の商工会議所の役員をしていた坂井さんは、気仙沼高校避難所で管理者を数名の方と共に務める事になり、100人以上いる避難者の意見をまとめ、時には我ままを言う人をの意見を退けて、即断即決で事を進めていきました。
さらに全国にいる経営者仲間や沢山の支援者と連絡を取り、食料から生活物資、果てはクルマまで寄贈してもらい、大切な人脈をフルに活用していました。
ともすれば、大勢の意見に迎合し決断が遅れたり、公平性を理由に不作為を通したりする事が多いなか、見事なリーダーシップです。
所狭しと山積みになった支援物資
後日、こんなエピソードを聞きました。
仮設住宅の建設も進み徐々に避難者が引越しをしていく中、坂井さんは抽選で自分の仮設住宅が決まったにも関わらず、最後の一人が引っ越すまで気仙沼高校避難所で生活を共にしたそうです。
彼は、決して仕事として避難所の管理者をやっていたわけではありません。
いち民間人であり、本来そこまで人々に尽くす事もないのです。
しかし、自らも被災し、何もかもを津波に流され、身一つになったその坂井さんなのに、最後まで立派に管理者の勤めを果たされました。
坂井さんは本当のヒーローでした!ヽ(`Д´)ノ
バケツリレーで搬入される段ボール製簡易ベッド
前回気仙沼に来た時、そんな坂井さんに段ボール製簡易ベッドの導入を勧め、100床導入することができたのです。
その中で私にとって印象深いおばあさんに出会いました。
クララが立った!
気仙沼高校のあるおばあさんは、震災以前は自活していたのですが、震災後の避難所暮らしで、自活できなくなり寝たきりになってしまいました。
初めてお会いした時は、車いすで介助が無ければ自分で動けません。
長期の雑魚寝により、ADLが悪化に直結するのは明らかでした。
ADL→日常生活動作。食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など生活を営む上で不可欠な基本的行動
話は少しそれますが、災害時には厚生労働省からの通達や、医療及び介護関係の研究結果を元にした、避難所生活のマニュアルがあります。
例↓
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000016tyb-img/2r98520000016w0j.pdf
そこには、
”エコノミークラス症候群や廃用症候群(生活不活発病)予防の為に、出来るだけ動きましょう。”
と、あります。
しかし、そもそも雑魚寝をしていると動けないから動かないのであって、動きやすい環境でないと無理なことです。
それを解決する手段のひとつが、立ち上がりやすい簡易ベッドなわけです。
坂井さんに、このおばあさんにベッドを使ってもらう事を提案しました。
なんとか車椅子からベッドに移り、ベッドを試してもらうと、動きやすく大変楽になったそうです。
1ヶ月後、この避難所を再訪問した時、
なんとこのおばあさん、
一人で立ちあがって歩けるようになり、車椅子はもう使っていませんでした!
嬉しかったですね!
まるで、クララみたいです
直接、被災者の方に語りかけ、ベッドを組み立ててあげて、それがいい結果を生む。
今までの苦労が本当に報われた感じがしました
この日、ベッド導入の様子が報道された
続く