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2012.06.05

第26回 災害大国日本②

地震だけではない平成23年の災害



平成23年は、東日本大震災以外にも甚大な自然災害が多数発生しました。


年明けは、日本海側で大雪による被害が続出した、いわゆる”平成23年豪雪”で始まり、この時は各地で積雪記録を塗り替えるほどの降雪で、交通機関は乱れに乱れました。


また、震災後の7月27日から30日にかけては、新潟県と福島県で記録的な豪雨になり、河川の氾濫による浸水、及び土砂による被害も拡大し、死者4人行方不明2名を出す、いわゆる”平成23年7月新潟福島豪雨”が発生しました。   


さらに、8月の終わりから9月の初めにかけて、西日本の太平洋側で台風12号による最大で2,000ミリと言う記録的な大雨により、激しい河川の氾濫と土砂崩れにより、和歌山県奈良県を中心に、死者78名行方不明者16名という甚大な被害が発生。またそれだけでなく、全国で住宅全壊半壊が3,300棟、床上浸水が5,600棟と、空前の被害となり、多数の被災者が長期避難を余儀なくされました。




私は震災発生以後、9月までに13回東北に行ってましたので、さすがに疲労が溜まりダウン寸前でしたが、同じ近畿圏で大きな被害が出ている以上、行かないわけにはいきません。


9月10日。アポなしではありましたが、トラックに段ボール製簡易ベッドを積み込んで紀伊半島に向かったのです。


段ボールベッドの軌跡

市の防災担当者も庁舎内で雑魚寝
段ボールベッドの軌跡
土砂崩れの国道の迂回路は林道
段ボールベッドの軌跡
軽トラしか通れない道を2トン車で強行突破


先ずは、奈良県五条市の災害対策本部へ。しかし、避難者は少なからずいたものの、全員旅館に入れたと言う事で導入には至りませんでした。


その後、和歌山県田辺市へ。夕方になって田辺市役所に到着。災害対策本部に説明して使っていただける事になりました。


ただし、被害が大きかった内陸部の本宮町まで、さらに70km程走る事に。


しかし熊野街道と呼ばれる国道311号線は大規模な土砂崩れで通行止め。迂回路はあるものの、なんとイノシシが通るような狭い林道しかありませんでした。


おまけに、交通規制の警備員に間違った道を教えられ、とても2トントラックが通れないほどの林道に迷い込んでしまったのです。


この時は、まだ山肌にしみ込んだ雨が、地面から流れ出しているような飽和状態でしたので、自分が土砂崩れで2次被害にあう可能性があり、危険な状況に陥りましたがなんとか引き返し、避難所のある本宮町に着いたのは夜の8時になっていました。




やっぱり雑魚寝の避難所


おそおそに避難所に到着して中をのぞいてみると、大きな分厚いマットをベッド代わりにして高齢者の方が使っていたのでこれはいいな!と思いましたが残りの方がやっぱり雑魚寝だったので、他の避難所の分も含めて50床を提供しました。


ボランティアの皆さんとさっそくベッドを作り、試してもらいます。


どこでもそうですが、最初はこんな段ボールを持ってきてどうするの?って顔で見られますが、実際試してみると大好評!皆さんに使ってもらう事でき満足です。


被災者の方に喜んでもらえた事を、同行した社員と一緒に喜びながら、事故もなく無事に帰路につく事ができました。


段ボールベッドの軌跡
分厚いマットと雑魚寝の避難所
段ボールベッドの軌跡
みなさんで作るのも経験してもらう
段ボールベッドの軌跡
一度座ってみれば良さが解ってもらえる




那智勝浦町、新宮市へ




続いて9月23日。那智勝浦町と新宮市に向かいます。ここも酷い被害をこうむった場所で、世界遺産でもある那智大社も大きな被害を受けました。



さっそく、那智勝浦町役場の職員に案内してもらい町立那智中学校の避難所へ。

ここも約20人ほどの被災者が避難生活をしていましたが、びっくりです。夏を過ぎたとはいえ体育館に古段ボールを敷いて寝ていたのです。これはいくらなんでも酷いなと思いつつ、人数分を使ってもらう事に。



段ボールベッドの軌跡
古段ボールを敷いて薄いマットだけの寝床


段ボールベッドの軌跡
もちろん空調は無し



段ボールベッドの軌跡

ベッドだと少しは人間的な生活になる




段ボールベッドの軌跡
新宮市役所に到着

段ボールベッドの軌跡
ボランティアの方に手伝ってもらう



山間部の避難所の問題点



続いて、新宮市。新宮市も熊野川の氾濫で大変大きな被害のあったところで、沿岸部よりも山間の集落の被害が大きく、そちらに向かう事になったのですが、またまた国道が土砂崩れで通行止めの為、大きく迂回して狭い林道を走るしかありませんでした。


山間部を走ると、日本は山が多く、道一本で孤立してしまう小さな集落が、無数にある事を改めて実感します。


大きな災害発生時は、急病人や水食料医薬品はヘリで輸送になると思うのですが、天候にも左右されますしましてやベッドはヘリで運ぶ訳に行かないでしょう。


その他にも、仮に道が通じても、大型トラックや4トントラックなどが入れない為に、軽トラック程の物資しが届ける事ができないなどロジスティックの問題は大きそうです。


ですから、山間部は公民館などにベッドもそうですが食料や医薬品も、必要数備蓄すること事か必要かもしれません。


また以前聞いたのですが、山間部の住民は殆ど高齢の方が多く、大雨などで避難勧告が出てもなかなか避難をしたがらないそうです。

その理由は、避難所にありました。先ず、洋式のトイレが無いことと、ベッドが無いからでした。

足腰の弱っている高齢者には、和式トイレや雑魚寝はそれくらい辛いのです。

ですから、簡易ベッド簡易トイレも最低限の数だけでも備蓄をすることで、早めの避難を促す必要があるかもしれません。

災害時、命を救うのは事前の周到な準備と的確な現場の判断が大切。

過去の被害の教訓を活かし、次の災害時には被害を最小限に留めないと犠牲になられた方に申し訳ないと思います。

段ボールベッドの軌跡
市の防災担当者の先導で林道を行く

段ボールベッドの軌跡

大雨による倒木で、ついに行く手を阻まれる

続く

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