段ボール製簡易ベッドができるまで
東日本大震災の直後に、急遽段ボール製簡易ベッドを設計してこれまで被災地に展開してきました。災害時の避難所には、立派なベッドより、簡単で大量供給できる段ボール製簡易ベッドがぴったりだと思います。
前回までに記述しました、自治体との防災協定ですが、原則段ボール製簡易ベッドは備蓄を薦めていません。
なぜなら72時間あれば、でどれだけ大量でも生産できるからです。たとえば10万床でも複数の工場で生産可能です。
実際に災害が起こるまで、必要数に対して、多いかも知れないし少ないかも知れないので、備蓄しなくていいと思っています。
ただ、災害時要援護者や、道1本で孤立してしまうような山間部や寒冷地は、最低限の備蓄は必要かもしれません。
防災協定発動後の流れ
①場所と数量を指示いただき直ちに手配
②コルゲーターマシンで段ボールシートを生産
③350m/分の高速で運転されていて大量生産できます
⑦一旦物資置き場へ
⑧家族単位でベッド組立
⑨完成 すっきりした環境 個人の荷物をベッドに収納
段ボール製簡易ベッドの作り方
子供でも高齢者でも、工具なしでテープを貼るだけで簡単に作れます。
男性1人で、1床15分~20分で完成。
備蓄用の場合
①ベッド1床分の荷姿です
②中身はこれだけです
③ミカン箱タイプ24個の底をテープで貼ります
⑤ふたをしてテープを貼ります 収納するときはテープは貼らない
⑥段ボールの枠を広げてミカン箱を4つ入れます
⑦段ボールの枠を6つ並べて段ボール板を2枚敷いて完成
⑧同じサイズの段ボール板を2枚立てればパーテーションに
⑩バッグなど貴重品の保管場所が無いので避難所では重宝します
以上のように、段ボール製簡易ベッドは大変簡単に作れて、簡単に処分もできますので、災害時は段ボールの機動性が、必ず発揮できると考えています。
被災地支援だけではない、もう一つの目的
昨年の東日本大震災以来、1年半以上にわたって被災者支援活動を取り組んできました。また今の避難所のあり方にも疑問を感じ、これを改善してあるべき姿に近づける活動にも取り組んできました。
と同時に、実はもう一つの目的があります。
支援活動を通じて、段ボール業界の地位向上と、業界従事者に自分たちの仕事に誇りを持ってもらいたいということです。
段ボールと言うと、とかく地味な業界と思われます。私も若いときはそう思っていました。華やかな職業とは程遠い、それこそ埃っぽいイメージです。主役はあくまでも、中身の商品であり、包装に使われる段ボールは一生主役になれない万年脇役です。
そんな業界で、自分の職業に誇りもプライドも持てず自虐的に、この業界は仕方がない、と言ってあきらめムードで愚痴をこぼすシーンをよく見かけます。
しかし、本当にそうでしょうか?
今回の段ボールベッドの取り組みで、何人かの被災者が、
”ありがとう、暖かいし本当に楽になったよ!"
”段ボールってこんなに良いものだったんだね”
”こんな良いものを開発してくれてありがとう”
って声をかけてくれました。
この仕事に就いて20年が経ちましたが、こんなに自分自身がうれしくなって感動させてもらったことはなかったのです。
その笑顔が喜びです
また、避難所への段ボールベッドの生産を担当してくれた工場の現場の人達の声を伝え聞きました。
子供たちや家族が、
”お父さんの会社って、被災者支援をしているだね!すごいね”
ってうれしそうに言ったそうです。
これこそが産業従事者としての誇りです。
この感動を、段ボール業界みんなで感じてほしい!そして誇りを持って仕事に取り組んでほしい。我々の業界こそが、大災害の際に積極的に被災者支援に取り組み、被災者の皆さんのお役に立つ。
こんな素晴らしいことはないと思うのです。何とか私は、自分達のJパックス㈱だけではなく、段ボール業界全体として、そして一人の国民として皆さんのお役にたてることができると確信しています。
来るべき、次の大災害の時には、”段ボールベッドが被災者の命を守る”
これは私の使命、いや私が存在してる意味だと感じています。
続く
私達の会社、Jパックス㈱のホームページです。
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